こんな恋は二度とないな

両手いっぱいにひだまりを抱えたきみに

消えないひかりに出会った話

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『見せたいよ 僕らは今…消えない虹なんだ』─ ナナツイロREALiZE / IDOLiSH7






今から6年前の春、彼が業界に足を踏み入れたその日に出会い、5年間欠かすことなく応援してきた大好きな男の子がひっそりと、きらきらの表舞台から姿を消しました。





その日からの私は、抜け殻同然で、「何も信じられない」「裏切られた」「幸せになって欲しい」と負の感情も正の感情も関係なく、ひとつひとつが強くて濃い質量を保ったまま私の中に溢れていて、濁流に飲み込まれたみたいな気持ちに囚われて。身体の芯が抜き取られてしまった私はその流れに逆らうことも出来ないまま、自分の感情にこんなに沢山の種類があったことに初めて気付かされてまた悲しくなったのでした。





いくつか歳を重ねてもずっと、新しく誰かを好きになることに怯えて暮らしていました。好きになったって、その気持ちをありったけのパッションでできる限りの力を持って伝えたって、届かないことも消えてしまうことも、簡単だと思ってしまったから。誰かを応援することが大好きで、学校生活でも応援団やマネージャーという役職に就くことで、人を支えるという目印を向いて生きてきた私だけど、もう二度とジャニーズのアイドルを応援すること、信じることは出来ないかもしれないといつしかそう思うようになっていきました。





そんな日々から数年経って、私が見つけたのが アイドリッシュセブンというアイドル育成ゲームでした。冒頭に載せた歌詞もこのコンテンツの中のキャラクターソングの1つです。プロジェクトの大きなテーマの1つは「虹(二次)を超える」。なんとなくで始めたはずが、このテーマに魅了されて、それを実現しようと様々なアクションを起こしてくれることに毎回感動させられて、リリースから5年を迎えようとしている今でも、大切に応援し続けることが出来るようになっていました。





結局のところ私はアイドルという存在も、応援するという行為も諦めきれなかったのだと思います。だって、アイドルってそれほどまでに魅力的なんです。それを応援している自分まで魅力的になれるくらいに。




しぶとく諦めきれなかった結果得たのが、アイドルのきらめきと虹とを重ねるという考え方でした。


虹を見られるのはほんの一瞬。それを見つけられるかは運次第で、見つけることが出来たとしても消えるときがいつか必ずやってくる。それでも、虹を見つけたという事実は私たちの中に必ず残り、思い出せばいつだって心の中で眩く輝く。


アイドルだって人間だから、引退以外のお別れもいくらでもあります。もちろん死別だって有り得て、物理的な永遠なんてそこにはない。それでも、アイドルは自分の描く偶像の中に永遠を生み出そうとしてくれます。


だからこそ、アイドルたちのきらめきも揺さぶられたファンの感情も、心の中で自分の好きなときに好きな場所でまた感じることが出来るんだろうなって。


あの歌詞の「消えない虹」にはこんな思いが込められているんだと、私は勝手に解釈しています。




私にとって、彼を好きだった時間はまさに「消えない虹」でした。初めて貰ったファンサ、毎月のファンレターを書く時間、最後に見た笑顔。そのどれもが今でも当時の熱量で思い出されて、胸が苦しくなるほどの楽しさや嬉しさが押し寄せてくる。少しずつ彼との時間が鮮やかに取り戻されて、思い出のフォルダに綺麗なまま保存できるようになったのはアイドリッシュセブンのおかげだったのかもしれません。





時は流れて今年の2月。先述の通り、人を応援することが好きな私は、大学のサークル活動でマネージャーとして表舞台に立つ部員を支える仕事をしていました。しかし、3月に控えた公演の練習や宣伝で忙しなく動いていたタイミングで言い渡されたのが、サークル活動の無期限停止。大きな目標だった公演が目前で中止されて、やり場のない悲しみに包まれているときに初めて見たのが、すのちゅーぶの富士急ハイランド回でした。昔からほとんどのメンバーの名前も顔も知っていたけど、今の彼らをきちんと認識したのは初めてで、気付いたら涙が出るくらい笑っていました。鬱屈とした思いを抱えたまま白紙になる予定だった私の春休みは、その日からSnow Manに染め上げられていきました。





もう、ジャニーズのアイドルを応援できないと思っていた私が、今度は彼らに応援されているような気持ちになって。ファンが注ぐべき無償の愛が、渡す前からこちらに届けられているみたいな、そんな9人の在り方の虜になっていました。





失うことが怖くなくなったと言えば、それはもうとんでもない大嘘であるなと思います。好きな気持ちの裏側には、その不安がずっとついてまわるのが常だと知っています。それでも、また1歩踏み出せたのは、「消えない虹」だと信じさせてくれたから。どうしようもなくこの人たちの描く未来の続きを見たいと思ってしまったから。虹のその先へ一緒に歩ませて欲しいと願って、私はゆっくりと足を前に向けました。





実は、私の好きになった阿部亮平さんは「消えない虹」とはまた少し違っているような気もしています。彼の歩いたあとが、私には「消えないひかり」のようで。その足跡ひとつひとつが、今在る阿部くんを見つめる度にやわらかな光を放つような、そんなイメージなのです。私が知らない間の阿部くんが、ここに来るまでに重ねてきた努力や考えながら進んできた道筋が彼を彩るために輝いているんだと思います。阿部くん自体が私にとってのひかりであるから、というのも混じり合ってこれからも私の中で光り続けるんだろうな。





まるっと9人のことを好きになって、誰か1人を選べないと3ヶ月もの間FCの登録を悩んでいた私が、いつの間にか阿部くんを1番に想うようになったのはたくさんの理由があると信じていて。いくつも並べることはもちろん簡単に出来るのだけど、もしかしたらそうしてみたところで好きの気持ちってもっと直感的で衝動性のあるものなのかも、と思ったりなんかもして。きっとそんな瞬間毎の好きを積み上げたところに、1番の理由がどーんと乗っかっているのでしょうね。


それでもやっぱり、明確に好きだ!と思った初めての瞬間は覚えています。大好きな言葉。



僕はジャニーズが天職。




これを言い切る阿部亮平さん、すごくないですか。かっこよすぎませんか。


アイドルが天職な人は、たくさん見てきました。だけど、それ以上の場所に視線が向いているこの人を、ジャニーズの道を一心に走り続けてきた彼の進む道を、もっと見つめていたいと思ったんです。アイドルが好きな私のもっと奥にいた、ジャニーズのアイドルが好きな私を見つけてもらったとも思いました。私が出会ってからの阿部くんも、いろんな方に教えていただいた過去の時間の中の阿部くんも、この核が全くブレたところを見せないんです。ずっと、ジャニーズの、Snow Man阿部亮平さんに矜持を持っているところが、好きの始まりでした。





まだまだ知らないところも見たこともないところも、途方もないくらいあるけれど。それでも、16年間のうちのほんの少しに触れられている私はとっても幸せな人間です。1度は自分から遮った温かなひかりを、そっと灯し直してくれたのが阿部くんでほんとうによかった。これから一緒に見られる景色が、彼にとっての「消えない虹」となるように私も阿部亮平さんのファンであることに誇りを感じながら生きて行きます。








ジャニーズの阿部亮平さん、生まれてきてくれてありがとう。
アイドルの阿部亮平さん、ここまで来てくれてありがとう。
あなたが思考と選択を重ねたYESの連続と私の見つけた道が交わったこと、これ以上ない幸せです。





17年目の阿部くんもきっと、どこまでもまっすぐジャニーズの阿部亮平さんで、Snow Man阿部亮平さんであるのでしょうね。





これからもそばにいさせてください。





どうしようもなく、阿部亮平さんというジャニーズのアイドルが大好きなファンより。









おまけ



実は今年の1月。思い立ってSNSで彼の名前を久しぶりに検索してみたんです。出てくるのなんて、過去の映像くらいかなと思っていたら「イベントゲスト出演」の文字が飛び込んできて。彼も4月からは社会人になる年だと知っていたので、もうきっと二度と会えない。そう思った次の瞬間にはチケットを買っていました。きちんと、寂しかったことも感謝の思いも直接伝えることが出来ました。


そうして区切りのついた想いを経た直後だったから、躊躇うことなくSnow Manを好きになれたのかもしれません。いくつもの偶然の重なりが、こうして私の目の前に在ったこともきっかけのひとつだったのだろうなって。


色んな選択の末に道の上に立っているのは、私も阿部くんも彼もみんな同じなんですよね。それが交わることってとてつもない奇跡のはずで、だからこそやっぱり「消えない」のだろうなと思います。


アイドルを好きになることの難しさも苦しさも、それを上回る圧倒的な幸福も全部全部抱きしめて、好きを続けることが出来たらいいな。







2020.08.12.





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